コネクションプラクティスの視点:人と人がつながるということ

こちらは、コネクションプラクティスの認定トレーナー(ラスール)として、日々の出来事を、コネクションプラクティスの視点から取り上げるシリーズです。

※コネクションプラクティスの視点とは

 コネクションプラクティスとは、非暴力コミュニケーション(NVC)の「共感」と、ハートマス研究所の「ハート・脳洞察」の相乗効果で、自分自身、まわりの方とつながり、人生の課題を解決し、人生を豊かに生きるためのスキルです。取り上げる話題は、日々の生活の中で、コネプラに関係あるなあ、と思ったことになります。場合によっては、「共感だけ」「ハート・脳洞察だけ」にかかわる話題の場合もあります。

つい、先日、コネクションプラクティス基礎コースをパート1からパート3まで、計36時間受講していただいた方とのセッションが終了しました。

その方は、共通の知人のご紹介で受講してくださった方で、私はコネクションプラクティス講座のセッションでお会いするまで、まったく存じあげなかった方です。が、パート1からパート3までの36時間、様々なワークの中で、私自身もデモで、その方もご自身のワークの中で、自分の課題や誰か他の人との葛藤を取り上げるので、36時間が終わったときには、もうずっと昔から親しくお付き合いさせていただいているような錯覚に陥るほど、距離が縮まっていました。そして、パート3の最終日には、もう、シリーズが終わってしまうのかと思うと、とっても寂しい、せつない気持ちなりました。

当然初対面のコネクションプラクティス基礎コース パート1の初日はお互い緊張していました。しかし、回を重ねるにつれ、お互いの理解が進み、リラックスした、楽しい雰囲気の中で、深いワークを安心してできるようになってきました。

そして、ファイナルのコネクションプラクティス基礎コース パート3。その方がとても楽しみに来てくれたのが、最初から、こちらにも伝わってきました。ところが、講座3日間のうちの、2日目のあるワークで取り上げた、ある人に対するもやもやした思いが、彼女の深いところにある痛みを刺激してしまったようでした。ワークのあと、彼女がとても動揺されているのを見て、少し心配をしていました。

コネクションプラクティス基礎コース パート3の3日目は、2日目の約1週間後でした。その方がどんなご様子でいらっしゃるのか、心配でしたが、なんと彼女は、とてもすっきりした顔でいらっしゃいました。

そして、チェックインワーク(講座の初めに参加者の近況をシェアするアイスブレイクワーク)のときに、その1週間の間に起こったことをシェアしてくださいました。最初の3日間は、どん底だと思うくらいに落ちこんで本当につらかった。でも、そのあと、立ち直り、対立の相手について、自分にできる限りの情報を収集し、その相手が、なぜ、自分が納得できないような行動をするのかを理解しようとつとめた。そして、その相手についての理解が深まったあとで、直接お話することもでき、納得できた。

このプロセスを通じて、コネクションプラクティス講座でお伝えしていた、「相手に対して敵のイメージを持ってしまうことがあるが、相手も感情やニーズ(大切にしているもの)を持つ、同じ人間なのだという実感を得られれば、対立をつながりに転換させることができる」ということの意味が、理解できた気がする、と。

その方は、明るい顔でさらっとおっしゃったのですが、最初の3日間でどん底だと思うくらいの辛さを味わったときは、本当にどんなに辛かっただろうと思います。そして、それに打ちのめされたままになるのではなく、相手とつながろう、相手を理解しようとして、前向きに行動されたことが、本当に素敵だなあ、と尊敬の念をいだきます。

コネクションプラクティス=つながるための実践・練習、です。人は誰しも、他の人とつながりたいと思っていますが、それぞれに個性があり、育った環境も違う、自分とは違う価値観を持つ人とつながるのが容易ではないこともあります。それを、「感情とニーズ」という、人間に共通な要素に注目し、まずは自分とつながったあとで、相手の立場に立ってみることで、つながりを取り戻すことができます。時には簡単にはいかないこともありますが、このプロセスを何度も実践・練習することで、必ず、つながる感覚を体験できるようにデザインされています。

この方は、36時間のセッション、及びその期間を通して、真摯にその感覚を実践・練習されたからこそ、最後にはご自身で、どん底とも思われる痛みから立ち直る力を獲得されました。

伝える側としては、こんなに嬉しいことはありません。

私自身も、つながりの実践・練習のまっただなかにいます。まだまだ、思ったようにできないことも、たくさんあります。でも、つながることの素晴らしさを知っているからこそ、この旅を一生続けようという気持ちになってもいるのです。

最後のセッションのアンケートにはこんな声をいただきました。

自分が自分とつながるうえで、内的平和を保つこと。自分の感じた感情を大事にする。

自分が他者とつながるうえで、決めつけないことの習慣化、色眼鏡をはずしていくこと。じぶんとあなたは同じであるということ。共感していく。

講座が終盤にむかうにつれて、大きな気づきと出会いがあり、自分が宇宙とつながっていくうえでの、きっかけと手掛かりをみつけました。

これからも、コネクションプラクティスを必要とされている方、ひとりでも多くにお伝えしていくことができたらいいな、と思っています。

<文責:株式会社まんま 代表 中村真紀>