私は、複数の外資系企業で執行役員や社長を務めていました。そのときは無自覚でしたが、「自分の意見は正しい」という前提が強くあって、意見の合う人とはうまくやれるのですが、合わない人との関係づくりにとても苦労していました。
約10年間で「天敵」とも思えるような大きな葛藤がある人と3人も出会うことになり、さすがに、これは相手に課題があるのではなく、私に課題がありそうだな、と思い始めた頃、NVCを学び始めました。
NVCを学んでいくつもの「目から鱗体験」がありましたが、中でも大きかったのは、私の意見には私の暗黙の前提や解釈が入っている、相手の意見も同じ、という気づきでした。2人が同じものを見ているというのは大間違いで、そもそも違うものを見ている。「観察」というプロセスの中で、そのことに気づきました。
もうひとつは、私の感情の動きの奥には、とても大事なもの(ニーズ)があるということ。相手の感情の奥にもニーズがある。ニーズのレベルに対立はなくて、対立は手段のレベルで起きている。自分と相手のニーズとつながったとき、同じ人間としての自然な共感が湧いてくる。
あんなにもやもやしていた相手と、実は私はつながりたかったし、理解もしたかったし、理解もされたかっただけだったんだ。だけどそのやり方がわからなくて、望んでいるところから離れるような言葉ばかり投げてしまっていた——その気づきは、今でも私の中に生きています。
スキルとして学ぶより、自分の「あり方」として身体に落とし込んでいきたい。そう思い続けてきたことが、今の活動につながっています。