非暴力コミュニケーションの学び:自分の限界にやさしくなる

今年、力を入れていること(つまり時間とエネルギーを使っていること)のひとつが、いろいろなトレーナー、いろいろな場で、非暴力コミュニケーション(NVC)を学び、非暴力コミュニケ―ション(NVC)を身体にしみ込ませることです。

「リーダーシップ」がテーマの非暴力コミュニケーション講座

その一環として、CNVC認定トレーナーのミキ・カシュタンの年間講座、Responding to the Call 2021に参加しています。こちらは、年間プログラムで、日本時間土曜日の毎週朝5時から7時(アメリカのサマータイム中は4時から7時)にオンラインで開催されています。

最近、すっかり、朝が弱くなった私には、この時間帯は非常につらいです。でも、毎回、頑張って起きただけの学びがあるので、なんとか、今までのところ、1度も寝坊せずに、参加できています。ここは、われながら、ほめてあげたい。

この講座のテーマは「リーダーシップ」。外資経営者を卒業し、ひとり従業員会社を設立して、自由気ままに生きていこうと決めた私ですので、リーダーシップとは無縁になるなあ、などと思っていたのですが、なんと、自分が選択した非暴力コミュニケーション(NVC)の年間講座を貫くテーマが「リーダーシップ」というのは、不思議な感じもありながら、必然のような気もしたりしています。

そして、非暴力コミュニケーション(NVC)で言うところのリーダーシップと、今まで私がいた、外資ビジネス界で言うところのリーダーシップは、もちろん、共通点もありながらも、随分と質感が違うなあ、というのも興味深く思っているところです。

この講座を受けはじめて、まだ約2か月。まだまだ、学び始めたばかりなのですが、既にたくさんの気づきと学びがあって、どれを書こうか迷いますが。

リーダーは自分の限界にやさしくなってよい

今日は、自分の限界への接し方について、書こうと思います。非暴力コミュニケーション(NVC)では、自分に対しても、他の人に対しても、思いやり(compassion)を持った接し方、コミュニケーションをすることで、暴力や争いのない関係、世界を作っていくことをめざしていると、私は理解をしています。

思いやり(compassion)を持つ=ジャッジメント、非難、評価をしない、ということでもあります。何らかの行動や発言を、自分、あるいは他の人がしたのを観察したときに、それが「悪いことだ」「そのようなことはすべきではない」という非難・評価をしない。これは、書くのは簡単ですが、実行するのは、とても難しいこと。でも、それをめざしている、ということなのだと理解しています。

他の人をジャッジしないためには、自分をジャッジしないことが必要なのですね。でも、これが難しいのです。

特に、リーダーという立場にいれば、他の人からの期待、自分自身の期待や抱負を含め、「こうありたい」「こうあるべき」がたくさんあるはず。それができなかったときに、どうしても、自分を責めてしまう。自分を非難してしまう。

私自身も、そんな経験を毎日のようにしてきたし、世の多くのリーダーもそうなのだと思います。

でも、ミキは、こう言うのです。「自分の限界を知り、それについて改善しようとするのではなく、それを、compensate(埋め合わせる)ことを考えなさい」って。たとえば、自分にはない能力を持つ人をチーム内に探す、いなければチームに入れる、そのことで、その人に自分のできない部分を担ってもらう。

そして、自分の限界に、やさしくなって、自分を責めないことって。そして、もしかしたら、その埋め合わせすらできない場面に出会ったら、「ごめんなさい。これは私のキャパを超えている。私にはハンドルできない」って、白旗をあげて、ただただ、そのことをやさしさを持って、嘆く(悼む)ことって。

もちろん、今までいた外資ビジネス界でも、リーダーがなんでもひとりでやれ、なんてことは言ってなくて、適材適所、チームの力をうまく使うなんてことは、常にリーダーシップのテーマだったと思います。

でも、なんというか、その手放し加減の「質感」がすごく違うなあ、って私は今、感じているのです。「ごめんなさい。これは私のキャパを超えている」なんてことは、決して口にできないような、そんな緊張感を、(もしかしたら自分で勝手に作っていただけかもしれませんが)、常に感じていたなあ、と。あるいは、そんなこと言ったら「リーダー失格」って感じてしまったかもしれないなあ、と。

でも、もしかしたら、私が体験した苦難のうちのいくつかは、単純に、私のキャパを超えていたというだけのことだったのかもしれない。そして、そのことによって、自分を責めたりする必要などなく、単に、受け止めて、嘆けばよかったのだなあ、と今の私は感じています。キャパを超えた問題に出会ったとしても、別に「人間失格」でも「リーダー失格」でもないのです。

ミキは、リーダーシップは自分の「強み」の上に築くのがよい。そして、前述したように、限界は、他の人の力を使って「埋め合わせる」だから、スタイルは人によって違うのだ。そして、そのリーダーシップは、自分が思い描く理想の社会(ビジョン)の実現のために発揮するもの。でも、ビジョンと現実の間には、(ビジョンが高くて大きいほど)ギャップがあるものだ。そのギャップに対してもやさしさを持って、ただ嘆く。そのことで、ニーズとつながり、エネルギーを持って、進んでいくことができる、と言っています。そのギャップを誰かのせいにして非難してしまうと、それは暴力になってしまう、とも。

彼女は、「地球全部の問題をあなたひとりで抱える必要はない。自分が抱えられるだけの問題を抱えればいいのだ」という主旨のことも言いました。自分ひとりで抱えない=他の人、まわりの人を信頼すること、他の人、まわりの人とつながること。

非暴力コミュニケーション(NVC)の世界観ってやっぱり素敵だ、と土曜早朝の眠い目をこすりながら、毎週元気をもらっている私です。

<文責:株式会社まんま 代表 中村真紀>