Speak Peace原書からの学び⑪:Power with (パワーウィズ)

このシリーズでは、非暴力コミュニケーション(NVC:Nonviolent Communication)を開発した、マーシャル・ローゼンバーグ氏の言葉を、彼の著書(原書)から抜き出し、私なりの解説を加えることで、英語と、非暴力コミュニケーションの双方を学ぶ機会を提供できれば、と思っています。

最近、まだ翻訳されていない、マーシャル・ローゼンバーグの著書、「Speak Peace」の読書会に参加していて、改めて、彼の言葉の持つパワーを感じているところです。

気になるフレーズ、心惹かれるフレーズだらけなので、それらを順番に取り上げていければなあ、と思っています。

Speak Peace原書からの学び⑪:Power with (パワーウィズ)

7回目・8回目・9回目・10回目に続いて、今回も「リクエスト」にまつわるともいえますし、もう少し広く、人と人との関係について述べている、ともいえる箇所をピックアップしました。

Power with is getting people to do things willingly, because they see how it’s going to enrich everybody’s well-being.

パワーウィズは、人々が喜んで物事を成し遂げるようにします。なぜなら、彼らは、それがすべての人の幸せを豊かにすると思うからです。

Speak Peace(マーシャル・ローゼンバーグ著)

このPower with (パワーウィズ)というのは、非暴力コミュニケーション(NVC)の中でも、とても重要な概念になります。

これと、対照的な概念としてPower over (パワーオーバー)、あるいはPower under (パワーアンダー)という概念があります。つまり、人と人との力関係です。パワーウィズは、それが「対等」である関係。パワーオーバーあるいは、パワーアンダーは、どちらかが上、どちらかが下という関係をあらわします。

ピックアップした箇所の直前の箇所ではパワーオーバーについて述べています。

Power over others gets things done by making people submit.

パワーオーバーでは、他の人を服従させることによって、物事を成し遂げます。

You can punish or you can reward.

あなたは、罰することもできますし、報酬を与えることもできます。

Speak Peace(マーシャル・ローゼンバーグ著)

つまり、パワーオーバーは、人に罰を与えることや報酬を与えること(飴と鞭ですね)で、人をコントロールし、何かをさせるという関係です。それは服従の関係であり、上下の関係です。

一見、このパワーオーバーは、有効な手段にみえるかもしれません。しかし、マーシャルは、その関係をはっきりと否定しています。

It’s very weak power, because you have to pay for it.

これは、とても弱い力です。なぜなら、あなたは、つけを払わなければならないからです。

Speak Peace(マーシャル・ローゼンバーグ著)

人が、自分の喜びからではなく行動をするとき、そのつけを必ずどこかで払わなければならない。しかし、パワーウィズで、お互いをより幸せにするために、心から喜んで行動すれば、そのようなつけを払うことなく、よりよい形で物事を成し遂げることができる。

人間が誰もが持っている、この純粋なエネルギーを信じることができるかどうか。私は信じたいなあ、と思って非暴力コミュニケーション(NVC)を学び続けることを選んでいます。

あなたは、どうですか?

(文責:中村 真紀)