Speak Peace原書からの学び②:何がいきいきしているか?

このシリーズでは、非暴力コミュニケーション(NVC)を開発した、マーシャル・ローゼンバーグ氏の言葉を、彼の著書(原書)から抜き出し、私なりの解説を加えることで、英語と、非暴力コミュニケーションの双方を学ぶ機会を提供できれば、と思っています。

最近、まだ翻訳されていない、マーシャル・ローゼンバーグの著書、「Speak Peace」の読書会に参加していて、改めて、彼の言葉の持つパワーを感じているところです。

気になるフレーズ、心惹かれるフレーズだらけなので、それらを順番に取り上げていければなあ、と思っています。

What’s alive in us? 何がいきいきしていますか?

2回目の今回は、NVCでもっとも大事な問いのひとつを取り上げたいと思います。
どの著書にも出てくる話ですが、今読んでいる、Speak Peaceの第1章の冒頭にも、いきなり、これが出てきます。

Nonviolent Communication keeps our attention focused on two critical questions.

非暴力コミュニケーション(NVC)は、私たちの注意を、2つの重要な問いにフォーカスさせ続けます。

Question number one: What’s alive in us?  (Related questions are: what’s alive in me? What’s alive in you? )

ひとつめの問いは、何が私たちの中でいきいきしていますか?(関係する問いとしては、何が私の中でいきいきしていますか?何が、あなたの中でいきいきとしていますか?)

Speak Peace(マーシャル・ローゼンバーグ著)

感情を認識すること

これは、私たちの心の中にいきいきとしている「感情」を認識することを示しています。マーシャルはこの言葉に続いて、たとえば英語のHow are you ?は、この「何がいきいきしているか?」という問いそのものであるのに、現在の私たちは、この大事な問いに、うまく答えることができない。そのように教育されてしまっているから、というような記述をしています。

実際、How are you?に対して、good, thank you のように、習慣的な答え方、儀礼的な答え方しかしないことが多いですよね。でも、本当に、今、自分の中に何がいきいきとしているのか?そして、相手に何がいきいきとしているのか、ということに注目し、表現したら、私たちのつながりの質、関係の質が、もっともっとあがるはずなのに、というマーシャル・ローゼンバーグの思いが表現されていると思います。

非暴力コミュニケーション(NVC)では、このいきいきとしているもの、感情、を感じることをとても大事にしています。自分の感情を身体感覚で感じること。相手の感情を推測すること。それは、非暴力コミュニケーション(NVC)の中の大事なステップのひとつです。

そして、感情は、私たち人間が満たしたいと願っている、「ニーズ」を指し示す、重要な標識だという考え方をします。感情がわからなければ、ニーズもわからず、自分と相手がつながりながら、より良い人生を送る手段を見出すことができなくなってしまう、と考えるのです。

一方、私が今まで身を置いてきた世界、ビジネスの世界では、通常、「感情」なんてものに注意を払わないことが多かったなあと思います。下手に、感情を出したり、言葉にしたりしようものなら、「プロフェッショナルとして、成熟していない」と判断されてしまうこともあったかもしれません。そういう世界に長くいると、だんだん、自分の感情に鈍感になってしまいます。

私も、非暴力コミュニケーション(NVC)を本格的に学び始めた当初は、自分の感情を、身体で味わうことがなかなかできずに、苦労しました。でも、これがわかるようになってくると、自分のニーズともつながりやすくなり、自分のニーズとつながると、すごくエネルギーが湧いてくる、ということを実感しているところです。

みなさんも、ぜひ、まず、自分の中に、相手の中に、何がいきいきしているのかを感じることを試してみてはいかがでしょうか?

(文責:中村 真紀)