このシリーズでは、非暴力コミュニケーション(NVC)を開発した、マーシャル・ローゼンバーグ氏の言葉を、彼の著書(原書)から抜き出し、私なりの解説を加えることで、英語と、非暴力コミュニケーションの双方を学ぶ機会を提供できれば、と思っています。
最近、まだ翻訳されていない、マーシャル・ローゼンバーグの著書、「Speak Peace」の読書会に参加していて、改めて、彼の言葉の持つパワーを感じているところです。
気になるフレーズ、心惹かれるフレーズだらけなので、それらを順番に取り上げていければなあ、と思っています。
人生をもっと素晴らしくするために、私たちには、何ができますか?
What can we do to make life more wonderful?
マーシャルは、非暴力コミュニケーション(NVC)には、2つの大事な問いがあると書いていることは、前回、お伝えしました。そして、前回はそのうちのひとつ、What’s alive in us?(何が私たちの中でいきいきしていますか?) についてお話しました。今回は、もうひとつの問いを取り上げたいと思います。
The second question-and it’ linked to the first-is: What can we do to make life more wonderful? (Related questions are: What can you do to make life more wonderful for me? What can I do to make life more wonderful for you?)
2つめの問い、そしてそれは、ひとつめの問いとつながっていますが、人生をもっと素晴らしくするために、私たちは、何ができますか?(関係する問いとしては、私の人生をもっと素晴らしくするために、あなたは何ができますか?あなたの人生をもっと素晴らしくするために、私は何ができますか?)
Speak Peace(マーシャル・ローゼンバーグ著)
内容に入る前に、英語についてちょっとだけ。このmake 〇〇(名詞)△△(形容詞)は〇〇を△△にするという意味ですが、とてもよく使われる表現なので、覚えておくとよいと思います。英語って、このmakeだったり、getだったり、have だったり、というような基本的な動詞を使って、様々なことを表現します。これが自由自在に使えるようになると、英語上級者という感じかなあと思っています。あまりに基本的な動詞なので、辞書でひいてもぴんとこないこともありますよね。私も、最初は、この手の表現にとても苦労しました。ただ、ネイティブの人と話していると、こういう表現が「すっと」出てきます。難しい単語をいっぱい覚えるより、こういう表現の引き出しを増やすといいな、と思います。
さて、内容に戻ります。最初の問いは、感情と関係しているというお話をましたが、2つめの問いは「ニーズ」と関係しています。私達の人生を素晴らしくするには、どうすれ良いか?まさに、すべての人が人生において、もっている問いですよね。
普遍的ニーズを満たす
非暴力コミュニケーション(NVC)では、それは人間誰もが普遍的にもっているニーズを満たすことだ、と考えます。ニーズってどんなこと?というと、たとえば「愛」「平和」「楽しみ」「休息」「感情的な安心感」「安全」といったようなことです。
人生を素晴らしくするには、などというと大きく構えてしまいがちですが、つまるところ、人間は、この普遍的なニーズが満たされていれば、幸せなのだ、というのが、非暴力コミュニケーション(NVC)の基本的な考え方なのです。
そして、そのニーズを満たす手段は、いくらでもある。その手段にこだわってしまったり、執着してしまったりするときに、人と人の間のつながりが切れ、争いや暴力が起きるのだ、ということにつながっていきます。この辺は、非暴力コミュニケーション(NVC)の核心でもあるので、追々、何度もお話しすることになるかと思います。
このあとのくだりで、マーシャルは、非暴力コミュニケーション(NVC)を学んだ人は、みな、2つのことを言うと書いています。ひとつは、これがいかに簡単で、シンプルか。そしてもうひとつは、いかに難しいか。
シンプルなことほど、難しいというのは人生と同じだなあと思います。これから、ご一緒に、このシンプルな奥深い世界を探検できればと思っています。
(文責:中村 真紀)