Speak Peace原書からの学び⑤:感情の原因は他人ではない

このシリーズでは、非暴力コミュニケーション(NVC)を開発した、マーシャル・ローゼンバーグ氏の言葉を、彼の著書(原書)から抜き出し、私なりの解説を加えることで、英語と、非暴力コミュニケーションの双方を学ぶ機会を提供できれば、と思っています。

最近、まだ翻訳されていない、マーシャル・ローゼンバーグの著書、「Speak Peace」の読書会に参加していて、改めて、彼の言葉の持つパワーを感じているところです。

気になるフレーズ、心惹かれるフレーズだらけなので、それらを順番に取り上げていければなあ、と思っています。

感情の原因は、他の人々の行動ではない

今回、取り上げるのは、私が、このシリーズを書こうと思ったきっかけにもなったフレーズ。そして、今も、自分の感情が揺れ動くたびに、思い出す、私が、もっとも影響を受けている言葉のひとつです。

The cause of feelings is not other people’s behavior, it’s our needs.

感情の原因は、他の人々の行動ではありません。それは、私達のニーズなのです。

The observation you wrote down about what the other person did is a stimulus for your feelings, no the cause of your feelings.

あなたが書いた、他の人がしたことに対する観察は、あなたの感情の刺激であって、原因ではないのです。

Speak Peace(マーシャル・ローゼンバーグ著)

私は、この区別が、非暴力コミュニケーション(NVC)を学ぶまでは、まったくできていなかったなあ、と思います。そして、他の人の行動や発言に、いちいち、むかっときたり、反応したりしてしまっていました。そのことを、親しい人によく愚痴ったりもしていました。そのときの、私の考えは、「相手が悪い」「あの人のせいで、私がこんないやな思いをしている」というものでした。

なので、「感情の原因は他の人々の行動ではありません」というフレーズをみたときは、ある意味、びっくりしました。一方で、実は、そのことを、自分も本当は理解していたような気もしました。

他の人がまったく関係ないわけではありません。他の人の発言や行動が、「刺激」にはなっているのです。しかし、それはあくまで、刺激であって、「刺激される何か」は私の中にあるのです。そして、それは、自分が満たすことを切望してやまない「ニーズ」です。

刺激されてしまったからといって、自分を責める必要はまったくありません。刺激されてしまったことを、「ああそうなのね」と受け止め、そして、そこまで刺激されてしまった、私の中に、どんな、「大切にしたいニーズがあるのだろう」と、自分とつながる。

自分とつながることで、揺れ動いた感情から解放され、自分とつながる感覚を取り戻せるはず。この一連の流れを知ってから、刺激があっても、(比較的)落ち着いて、対処できるようになってきた気がします。

もちろん、まだまだ学びの旅の途中。とても大きな刺激を受けたときには、やっぱり昔のパターンが出てしまうことも多々あります。それでも、少し落ち着けばこのことを、思い出せる。そして、それは私にとって、とても大きなことなのです。

(文責:中村 真紀)