おかしいルールは見直せばいい:共感コミュニティ通貨eumoからの学び

今までの自分の人生を振り返るとき。つい最近まで、既存の社会の仕組みやルールを前提に、なんとか、その中で生き残っていくにはどうしたらいいだろう、ということに、必死だったなあ、という思いがわいてきます。

正直いうと、いろんな局面で、ちょっとした違和感、というのはあったと思います。でも、なんとなく、「私ひとりで社会を変えることなんてできない」って思い込んでいて。その違和感には目をつぶって、そのルールや仕組みに「適応」することで、快適に生き延びようとしていた、私の強い生存本能があったなあ、と思います。

でも、昨年、共感資本社会の実現をめざしている、コミュニティ通貨eumoの代表、新井和宏さんのお話を伺ったとき、「ああ、自分はなんって、ちっちゃかったのだろう」って思いました。

そのとき、伺ったお話で、印象に残っていることは、いくつもあるのですが、たとえば、

「今の資本主義だと、農家さんが豊作になると相場が下がって、プラスにならないですよね。それって、どう思いますか?」という主旨のことをおっしゃったときに、ある種の衝撃というか、気づきがありました。

確かに、喜ぶべき、祝うべき豊作が、「ああ、単価が下がっちゃって儲からない」という嘆きになってしまう仕組みは、何かおかしい。でも、それまでの私は、それがおかしいということにすら気づいていなかったというわけです。一事が万事、ルールや仕組みを疑うのではなく、無条件に受け入れて、その中でどうやって生き残ろうかって考えてしまっていたんですね。

仕組みやルールがおかしかったとしても、そのことに、違和感を感じたとしても、全員が、この私のように、それを受け入れてしまっては、その仕組みが改善されるどころか、強化されるばかり。それで進んできてしまって、今があるのだなあと思うのですが、それに対して、さすがに、宇宙なのか地球なのか自然が警鐘を発しているのが、今のコロナ禍という見方もできるかもしれません。

新井さんは、そういう今の社会の歪みに対して、eumoという、新しいコミュニティ通貨を作ることで、少しでも変えていかれようとされています。「たとえ、失敗しても、子供に、何をやっているか、胸を張れるような活動をしていきたい」

本当にそうだなあ、と思います。生き残ることにきゅうきゅうとするのではなく、未来のために、自分がいいなと思う社会を作るために、何ができるか。たとえ、ほんの小さい一歩でも、そんな一歩を踏み出せるようになりたい。そのとき以来、そんな思いで生きるようになりました。

まだまだ、もともとついてしまった習慣もあるし。生存本能も騒ぐし。そうしたくても、そうできていないときもあると思うけど。そんな志を持って生きていきたい、と思う今日この頃です。

<文責:株式会社まんま代表 中村真紀>