人生はすごろくではない

あけましておめでとうございます!本年もよろしくお願いいたします。

独立してはじめて、移住先で過ごす三が日は、特に予定もいれず、自宅で思うままにゆっくり過ごそうと決め、久しぶりに、ゆっくりすることができました。そのおかげで、山と積まれていた、「いつか読みたいと思っている」本たちの何冊かも読むことができました。

榎本英剛著「本当の自分を生きる」

その中の1冊が、榎本英剛さんの書かれた「本当の自分を生きる」という本です。昨年、榎本さんが開発された「天職創造セミナー」の卒業生が開催された「本当の仕事」というワークショップに参加し、非常に面白かったので、榎本さんにも興味を持って買っていた本です。

元旦、山と積まれた本の中から、直観的に、これを選び、開きました。普通は、わりとまじめに、最初から最後までを順番通り、丁寧に読むタイプの読者なのですが、目次を見て、「人生はすごろくではない」という言葉になぜか惹かれ、いきなりその箇所を開いて読み出しました。

そこを開くと、目に飛び込んできたのは、「人生はすごろくではありません。もちろん、目標を持つこと自体は悪いことではないと思いますが、目標を達成できなかったからといって人生に価値がなくなるわけではありませんし、仮に目標を達成することができたとしてもそこで人生が終わるわけではありません。すごろく型の人生を送っている人たちによく見られるのは、あがるか、あがらないかという結果にとらわれるあまり、そこまでのプロセスになかなか価値を見出せなかったり、実際にあがってしまったときにどうしてよいかわからなくなってしまうという状態です」という一節です。

この一節を読んだとき、なぜ、私が、この本を買ったのか、そして、元旦の日に手にとったのかが、直観的に理解できました。

すごろく型の人生を生きていた

正直を言うと、私の人生の直近15年くらいは、「すごろく型」になっていたかもしれないなあ、と思います。いろいろな偶然が重なって、外資系企業の中で、より責任の重い仕事をすることを期待もされているし、自分でもやりたいと思っている、と自覚した時期がありました。そこから5-6年は流れにのるように、すいすいと物事が進み、気が付くと、40代で外資系企業の執行役員にまでなっていました。

そこに至るまでは、正直、楽しかったし、自分にも向いている仕事だとも思ったし、天が味方してくれているような感覚もあったかもしれません。しかし、そこから先の15年弱は、自分の中では「茨の道」的なものになりました。今考えると、一旦つかんだチャンスを手放せない。もっと成長しなければ、もっと大きな仕事をしなければ、といったような、

「すごろく」的感覚に、もしかしたら、どこかから取り憑かれていたのかもしれないとも思います。自分が渦中にいる最中は、そんなことは自覚していなくて。次々と降ってくる、様々な課題(経営的課題もあれば、人間的関係的課題もあれば、自分の内面の課題もありました)と格闘するのに精いっぱいだっただけなのですが。

そんな色々を経て、独立・移住を決めたあとは、びっくりするくらい穏やかな、満ち足りた日々がやってきました。多くの人に「表情が変わった」「柔らかくなった」と言われることも多くなりました。

ただ、一方で、自分の昔の「癖」が完全に消えたわけではなく。「移住して独立して、それで次は何をめざすの?」という声があり、どこかで不安がっていることにも気づいていました。この本を読むことで、「ああ、それは、すごろく型人生でないと不安に思ってしまう。私の内面的なパーツがいるのだなあ」という理解ができました。このパーツは、目標がないと不安になっちゃうし、目標ができれば、なりふりかまわず、その達成のために邁進しちゃうようなパーツさんです。

これは、間違いなく、私の「一部」ではありますが、私の「全人格」ではありません。以前の私だったら、そんなパーツにのっとられて、「目標探し、設定、達成」に必死になるか、あるいは、そんなパーツを責めて、「だから違う人生歩もうとしているんだから、黙っててよ」というような自己批判をしてしまったかもしれません。

しかし、コネクションプラクティス、非暴力コミュニケーション(NVC)、IFS(Internal Family Systems)などを使って、自分の内面とつながるスキルを覚えた今の私は、今までの自分とは違う行動をします。

セルフ(すべての人がもっている、スピリチュアルな質をもつ本来の自分)から、そのパーツの存在をみとめ、パーツが感じている感情や、パーツが満たしたいニーズを理解し、そのニーズを満たすための、よりよい手段を一緒に探してあげたい。そして、私の中の大事なニーズを満たそうとして、必死になってくれている、パーツさんに何より感謝を伝えたい。

「すごろく型」から「流れにゆだねる」生き方へ

糸島での私の暮らし、そして(株)まんまでの新しい活動は、「すごろく型」ではありません。「私自身がありのままの自分を生きること、そしてありのままで生きたい人を応援すること」を軸にしています。それを軸に、いくつかのお仕事をポートフォリオ的にやれれば、いいな、とも考えています。

自分の今までの経験をいかして、経営のアドバイザー的なことだったり、大企業向けの研修だったり、あるいは個人をサポートするセッションだったり、コネプラの講座だったり、さらには、糸島エリアを活性化することに役立つこともやっていきたいと思っています。が、未だ、バシッとした事業計画も、目標もない状態で、流れにまかせて、出会いを大事にして、自分の「お役目」があると思うことをやっていけたらいいなあ、というゆるい感じなんですよね。

だって、人生はすごろくではないんですもん。いろいろ失敗も、試行錯誤もあると思いますが、そのプロセスを味わって、楽しんで生きていきたいと思います。

ということで、今年の私のテーマは「流れにゆだねる」です。本年もどうぞよろしくお願いします。

(文責:中村真紀)